少し前によんだ小説のいちばん最後。
【
燃えつきるまで】 唯川 恵 (幻冬舎文庫)
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出会いは他愛ない偶然だった。
初めて耕一郎を見た時、すぐに好意を抱いたことをよく覚えている。電話が
あった時、すごく嬉しかった。会って瞬く間に耕一郎に恋をした。耕一郎もまた
玲子を好きになった。ふたりでたくさん話をした。たくさん抱き合った。笑ったり、
泣いたり、怒ったり、拗ねたり、いつも耕一郎と一緒だった。いろんなところへ行
き、新しい知り合いも数多くできた。毎日楽しかった。幸せだった。
決して間違えたのではない。出会うべき人にちゃんと出会い、恋すべき人に
ちゃんと恋をした。
たとえ別れてしまっても、出会わなかったことより確かな意味がある。あんなに
耕一郎が好きだったことを覚えていよう。それだけはずっと忘れずにいよう。
顔を上げた時には、もうすっかり涙は乾いていた。
そんな自分も悪くないと、玲子は思った。